herrlichtの日記

フリーランスの企画職を目指す、今は単なるノンスキル会社員の日記

「コミュニケーション能力」という言葉に甘えるの、もうやめませんか?

こんにちわ、herrlichtです。

近ごろ採用活動のヘルプで、学生向け会社説明会にパネラーとして参加することがしばしばあります。そこで人事担当者が「我が社が求めるのは、コミュニケーション能力が高い人材です!」などと言っているのを聞くと、心底げんなりすると共に、学生さんに対し本当に申し訳ない気持ちになります。彼らが支払ったコストに見合わない、全く価値の無い情報を押し付けていると感じるからです。

「コミュニケーション能力」は、その中に様々なサブ要素を無秩序に内包することが出来る、バスケットのような概念です。人間の魅力/能力を構成する各要素のうち半分くらいは、「これはコミュニケーション能力の一部だ!」と言い張ってもそこまで違和感が無いのではないか、と思うくらい、この概念のキャパシティは広く深いです。
であるからして。企業として「コミュニケーション能力を重視します!」と言うのであれば、せめてその「コミュニケーション能力」を構成する重要なサブ要素をその企業なりに言語化して列挙し、我が社では特にこのサブ要素を重視する、というレベルの説明をすべきだと思うのです。それをしないということは、会社組織の大いなる怠慢であると思います*1

では、ビジネスの現場で求められる「コミュニケーション能力」のサブ要素とは、いったいどのようなものなのでしょうか?
ここからは完全に私見になりますが、ことビジネス現場で求められる重要性のある要素を大きく捉えると、詰まる所以下の2点くらいのものではないかと考えています。

  1. 会話一往復あたりの情報毀損率が小さい
  2. 周囲の人に不快感を与えない


このうち、2.はわかりやすいですし、あまり反論も無いと思います。個人的に重視しているのは①です。

人間同士の会話において、話者の意図することが聴者に純度100%で伝わる、ということは絶対にありません。話者側が意図を伝えるのに適切な言葉をチョイス出来ない場合もあります*2。聴者が自分の過去の経験や思想に影響され、不適切に行間を読んでしまう場合もあります。
会話のキャッチボールをしていく中で、このような情報の毀損は常に起こっており、これは防ぎようがありません。そして、そのロスが累積していき一定の閾値を超えると、話し合っている双方が「私の伝えたいことがしっかりと伝わっていない!」と感じる、コミュニケーション不全の状態に陥ります。こうなったら、会話を一旦止め、参加者全員が調整コストを支払い、どのような情報が毀損してどのような誤解が生じているのかを解きほぐしていき、正常なコミュニケーション環境を整える作業をすることになります。この調整コストは、ビジネスの生産性にバカにならないレベルの悪影響を与えます*3。また、もしもコミュニケーション不全を放置してコトを進めたら...それはそれで恐ろしい結果が待っていることでしょう。
調整コストの発生を極力抑えるためには、会話量自体を抑えるか、会話一往復あたりの情報毀損率が小さい人たちのみで会話するしかありません。これらの施策のうち、前者は効果的な場合もありますが、特に大きなプロジェクトなどでは採用が困難な場合も多くあります。よって会社組織が目指すのは、会話メンバーを情報毀損率が小さい人たちのみ構成することであり、それを対外的に表現すると(甚だ不完全ではありますが)「我が社が求めるのは、コミュニケーション能力が高い人材です!」になるのでしょう。

個々人の「会話一往復あたりの情報毀損率」がどのように決定されるのか、というのは私にもよくわかりません。しかし、少なくともこのパラメータは心持ち次第である程度は底上げ出来るものではないかと思っています。コミュニケーション能力の捉え方として、「情報毀損率」という見方もあるということを、頭の片隅に留めておいて頂ければ良いのかなと思います。

それでは、また!

-------------------------

本ブログの更新情報はTwitter(@HL16WS_5813_034)にて流しております。

本ブログは少なくとも今後2~3ヶ月の間は高頻度で更新していく予定ですので、もしも興味をお持ちいただけた方がいらっしゃいましたら、Twitterをフォローいただくか、本ブログの読者になっていただけると大変ありがたいです。

*1:通常、製造部品なり業務システムなり、外部から何かしらの資産を調達する際は、要求スペックを詳細に定義するのに、何故か人材の要求スペックだけはこのようなガバガバ対応が許されています。それも、私の会社だけでなく、社会全般として。他の資産と比較しても、要求スペックの定義にある種の難しさがあるのはわかります。わかりますが、難しいからと言って定義づけの努力を放棄していては、前進がありません。

*2:そもそも、この世界の全ての情報のうち、それを伝えるにふさわしい言葉が割り当てられている情報は極々一部です。

*3:この文章は社内折衝を想定して書きましたが、情報毀損を極小化し、コミュニケーション不全/調整コストの発生を抑えることは社外折衝においても同様に重要です。